看護業界が抱える課題についてクローズアップ

高齢化による看護業界の課題

日本では、現在深刻な高齢化が進んでおりさまざまな問題となっています。看護業界でもそれは例外ではありません。高齢化によって増加するだろう患者数に対して、看護師の数が不足することが考えられます。厚生労働省の統計によると、平成20年の調査日における入院患者総数は約139万人で、そのうち65歳以上は約93万人です。
9年後の平成29年の調査日における入院患者総数は約131万人で、そのうち65歳以上は約96万人となっています。入院患者数に対する65歳以上の割合は平成20年は約67%ですが、平成29年には73%と増加していることがわかります。さらに高齢者は入院期間が長くなる傾向があり、同統計によると平成29年の35歳から64歳の平均在院日数が21.9日なのに対し65歳以上は37.6日となっています。
また、人口10万人に対する65歳以上の推計の患者数は、2734人です。40歳から44歳の場合は311人のため、高齢化に伴う患者数の増加は著しい結果となっています。これに対して看護師就業数は、日本看護業界の統計によると平成20年約90万人で、平成28年は約121万人です。
看護師の就業総数は増加傾向にありますが、そのうち病院での就業率は平成20年の約72%から平成28年には約69%と減少傾向にあります。長期間入院する高齢者が増加する病院で就業する看護師が減少すれば、当然看護師は不足し現場での看護師の負担が増大することになると考えられます。
高齢化が進み、高齢者の患者が増加する状況に対応出来るだけの看護師が必要ですが、看護師不足を回避できるだけの人材をどのように確保できるかが課題となるでしょう。